まずは、FXの基本と仕組みについて解説していきます。
FXとは「Foreign Exchange」の略で、日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれます。これは異なる国の通貨を売買し、その差額で利益を得ることを目的とした金融商品です。個人や法人が証券会社等の金融機関を通じて口座を開設し、スマートフォンやパソコンを利用して、外国為替マーケットで取引を行います。取引の対象は「通貨ペア」と呼ばれる2つの通貨の組み合わせで、代表的な例としては「米ドル/日本円」や「ユーロ/米ドル」等があります。
FXの最大の特徴は、少ない資金で大きな取引を行える「レバレッジ」という仕組みが利用できることです。例えば、レバレッジ25倍を活用すれば、4万円の証拠金で100万円分の通貨の売買が可能となります。ただし、為替レートの変動により大きな利益が出る一方で、損失が発生するリスクも存在します。
その他以下で紹介するスプレッドやスワップポイント、ロスカット等の用語を正しく理解することが大切です。FXは株式と異なり、24時間マーケットが開いており、時間を選ばず取引できる点も魅力のひとつです。
レバレッジとは、FX取引において実際に持っている資金よりも大きな金額の取引ができる仕組みです。たとえば、10万円の証拠金でレバレッジ25倍の設定を行えば、最大で250万円分の通貨を売買できるというわけです。この仕組みにより、価格の小さな変動でも大きな差益を得ることができます。
一方で、レバレッジには高いリスクも伴います。為替レートが反対方向に変動した場合、損失も同じように拡大します。証拠金の管理やロスカットの設定、取引ルールの確認等、あらかじめしっかりと準備をしておくことが必要です。
また、証券会社ごとに設定できるレバレッジの上限は異なり、国内では関東財務局や日本証券業協会等の規制により、個人の場合は最大25倍に制限されています。
FXにおけるスプレッドとは、通貨の「買値」と「売値」の差のことを意味します。たとえば、米ドル/日本円の為替レートが「買値:100.10円」「売値:100.08円」のようになっている場合、その差額である0.02円(=2銭)がスプレッドとなります。スプレッドは、取引を行う際に実質的な手数料として投資家に発生する費用です。
スプレッドは、証券会社や通貨ペアによって異なり、米ドル/日本円のような流動性が高い通貨ペアでは非常に狭く、マイナーな通貨ペアになると広がる傾向があります。スプレッドが狭ければ狭いほど、取引コストが抑えられるため、利益を出しやすくなります。
FX取引を始める際には、スプレッドの仕組みを理解し、自分に合った証券会社を選ぶことが重要です。
スワップポイントとは、異なる国の通貨を取引した際に発生する「金利差」のことです。FXでは、通貨ペアの中で金利の高い通貨を買い、金利の低い通貨を売ると、その差額分が利益(スワップポイント)として得られます。反対に、金利の低い通貨を買い、高い通貨を売ると、スワップポイントの支払いが発生することになります。
たとえば、日本円は金利が非常に低く、米ドルは相対的に金利が高いため、「米ドル買い/円売り」のポジションを保有すれば、スワップポイントを受け取ることができます。このスワップポイントは、証券会社や金利状況によって毎日異なる額が設定されています。
なお、スワップポイントによる損失が発生する可能性もあるため、リスク管理をしっかりと行うことが必要です。
証拠金とは、FX取引を行う際に必要となる「担保金」のことを指します。FX取引を行うためには、一定の資金を預け入れる必要があります。この資金が証拠金であり、取引の規模やレバレッジの倍率に応じて必要な額が変動します。
たとえば、レバレッジ25倍で100万円分の通貨を取引する場合、4万円程度の証拠金が必要になります。ただし、証拠金が不足すると、新たな注文を行うことができなくなったり、保有しているポジションが強制的に決済されること(ロスカット)につながるため、注意が必要です。
証拠金の金額は、為替レートの変動や保有ポジションの数、通貨ペアごとの必要証拠金率等によって異なります。日々のマーケットの動向や経済指標の発表等により為替レートが大きく変わる際には、証拠金維持率が低下することもあるため、資金管理が重要です。
初心者の方は、まずは少額から始めて、証拠金の仕組みをしっかり理解した上で、余裕をもった資金で投資を行うことが大切です。
ロスカットとは、FX取引において損失が一定の水準に達した場合に、自動的にポジションを決済する仕組みのことです。取引口座における証拠金が維持できない水準まで減少した際に強制的に実行されます。
たとえば、証拠金維持率が100%を下回った時点で警告が表示され、50%を下回るとロスカットが執行されるといった形です。特に、レバレッジを高く設定している場合や、価格の変動が大きな通貨ペアを扱う際には、ロスカットが発生しやすくなるため、十分な注意が必要です。
次に、FXで利益の出し方や利確の目安について解説していきます。
FX取引で利益を出す代表的な方法が、為替差益です。これは「キャピタルゲイン」とも呼ばれ、通貨の買値と売値の差額で利益を得る仕組みです。たとえば、1ドル=100円の時に米ドルを買い、その後1ドル=105円になった時に売ることで、1ドルあたり5円の差益が発生します。
為替差益は、買い注文から始めて高くなった時点で売る方法もあれば、逆に売りから始めて価格が下がったタイミングで買い戻すという方法もあります。
為替差益を得るためには、初心者の方はまず米ドル/日本円のような主要な通貨ペアから始める方がおすすめです。
FXでは、通貨の金利差から得られる利益「スワップポイント」も稼ぐ方法の一つです。これはインカムゲインとも呼ばれ、長期間ポジションを保有することで発生する金利収入です。たとえば、金利の高い国の通貨を買って、金利の低い国の通貨を売ると、その差額分のスワップポイントがもらえるという仕組みです。
スワップ取引では、毎日のように小さな利益が積み重なっていくため、長期運用を考えている方に向いています。特に金利差が大きな通貨ペアでは、スワップポイントも大きくなりやすいため、通貨の選び方が重要です。たとえば、高金利通貨として知られるメキシコペソやトルコリラ等はスワップポイントが比較的大きく設定されていることがあります。
ただし、スワップポイントは常に一定ではなく、証券会社や市場の状況、各国の金融方針によって変動するため、情報をこまめに確認する必要があります。
FX取引において利益を確定する「利確」のタイミングは非常に重要です。一般的には、為替差益が10%から20%程度になった時点で利確を検討するのが一つの目安とされています。
たとえば、10万円の証拠金を使って取引を行い、1万円の利益が発生した時に利確するのが目安でしょう。
ここからは、FX取引におけるリスク管理について解説していきます。
FX取引において「損切り」とは、損失が一定額に達したときに取引を終了することを指します。これにより、さらに大きな損失を避けることができます。市場の価格は常に動いており、思わぬ価格変動が起きることがあります。こうした事態に備え、事前に損切りのルールを決めておくことが、リスク管理において非常に重要です。
損切りは、ロスカットを防ぐためにも有効な手段なので、必ず損切りラインを設定しておきましょう。
証拠金維持率とは、FX取引において、必要な証拠金と実際の口座に入っている資金の割合を示す指標です。証拠金は、取引を行うために証券会社に預ける必要のある資金であり、価格変動により減少すると、証拠金維持率も低下します。
証拠金維持率が一定の割合を下回ると、証券会社からロスカットが発動され、ポジションが強制的に決済されます。
例えば、証拠金維持率が50%を下回るとロスカットが発動されることが一般的ですが、各証券会社によって設定は異なります。
FX取引において流動性は非常に重要な要素です。流動性が高い通貨ペアでは、売買がスムーズに行われ、価格の変動が比較的安定しています。しかし、流動性の低い通貨ペアを取引すると、注文が約定しにくく、価格が大きく変動するリスクが高まります。流動性の低い通貨ではスプレッドが広がり、取引コストも増加するため、初心者にとっては避けるべき通貨ペアと言えます。
流動性が高い通貨ペアとしては、米ドルやユーロ等の主要通貨ペアがあります。これらの通貨ペアは、価格の変動が予測しやすく、リスクを管理しやすい環境が整っています。
流動性の低い通貨ペアは、新興国通貨やマイナー通貨等です。これらは取引量が少なく、価格の変動が大きくなりがちです。流動性の低い通貨を取引する際には、十分なリスク管理と戦略が必要であるため、初心者が手を出すのは慎重に考えた方が良いでしょう。
初心者におすすめのFX証券会社は、以下の5社です。
GMOクリック証券は、初心者にとって非常に人気のあるFX証券会社の1つです。特にスプレッドの狭さと取引手数料の安さが特徴で、少額から取引を始めたい方に適しています。通貨ペアも豊富で、特に米ドルや日本円を中心とした主要通貨の取引が活発です。
GMOクリック証券では、レバレッジを最大25倍まで設定できるため、少ない証拠金で大きな取引を行うことも可能です。
また、マーケット情報や経済指標のデータ提供が充実しており、売買を行う際に役立つ情報をリアルタイムで取得できます。スマートフォンでも取引できるため、外出先でも気軽にFX取引を行うことができます。
みんなのFXは、特に初心者向けのサービスが充実しているFX証券会社です。口座開設が簡単で、オンラインで迅速に手続きを行うことができます。スプレッドの低さや手数料の安さも魅力で、取引を始めるためのハードルが低いです。通貨ペアの種類も豊富で、米ドルやユーロ、オーストラリアドル等、主要通貨の取引ができます。
また、関東財務局に登録されているため、安全性も高いです。
SBI FXトレードは、SBIグループのFX証券会社です。1通貨単位以上買うことができるのが特徴です。これにより、少額からでもFX取引を始めやすく、初心者の方には特におすすめです。
SBI FXトレードでは、最小スプレッドが0.2pipsからと非常に狭く、取引コストを抑えながら利益を狙うことができます。また、スマートフォン対応のアプリも使いやすく、どこでも手軽にFX取引を行えます。
なお、時間によってはスプレッドのレートが変動することがあるため、取引する前に確認しておきましょう。
松井証券FXは、長年の運営実績を持つ信頼性の高い証券会社です。スプレッドは広めに設定されていますが、手数料無料はかからないので、少額取引でもメリットを感じやすいです。
また、松井証券FXはレバレッジを最大25倍までかけることができるため、少ない証拠金で大きな取引が可能です。しかし、レバレッジを使用する場合はリスクも伴うため、十分にリスク管理を行いながら取引を進めることが求められます。
ヒロセ通商は、初心者から上級者まで幅広いトレーダーに支持されているFX証券会社です。特に「LION FX」という取引ツールが使いやすく、多機能でありながら初心者でも操作しやすいと評価されています。ヒロセ通商では、スプレッドが狭く、手数料も安いため、コストを抑えた取引を行いたい方に最適です。
また、最大レバレッジは25倍まで対応しており、大きな利益を狙うことができます。
上記のFX会社は、定期的にキャンペーンも開催しているので、ぜひ活用してみてください。
最後に、FXの仕組みに関するよくある質問について回答していきます。
FX取引では、買いと売りのどちらからでも利益を得ることができます。
FX取引において、元本保証はありません。そのため、予想外の変動によって損失を被るリスクもあります。
FXは「外国為替証拠金取引」と呼ばれ、異なる国の通貨を売買し、その差額で利益を得る仕組みです。
FXで利益を出すには、為替差益(キャピタルゲイン)やスワップポイント(インカムゲイン)が主流なので、初心者の方でも行えます。
また、FX会社を選ぶ際には、関東財務局に登録された金融商品取引業者なのかを確認しておきましょう。また、日本証券業協会や金融先物取引業協会に加入しているかどうかも確認必須です。
本記事でFXの仕組みを理解した上で取引を始めてみましょう。