早速ですが、結論です。同一口座の場合の両建ては可能なことが多いですが、例外に注意が必要です。複数口座・複数業者間での両建ては認められていない場合があるため、注意が必要です。
日本国内のFX業者では、金融庁の規制により両建てを推奨しないところも多く、取引条件が厳しく設定されていることが一般的です。中には、海外FX業界では両建てを許可している業者がほとんどですが、禁止している業者も存在します。
ただし、両建てには良い点も悪い点も存在し、リスク管理が重要になります。
両建てとは、同通貨ペアで買い(ロング)と売り(ショート)の両方のポジションを同時に持つ取引手法のことを指します。例えば、米ドル/円の通貨ペアで1ロットの買い注文を持ちながら、同時に1ロットの売り注文を入れると、両建てとなります。
国内FXと海外FXにおける両建ての違いは、主に規制と取引条件にあります。日本国内のFX業者は金融庁の厳しい規制を受けており、両建てを制限する業者が多いです。
一方で、海外FXは日本の金融庁の規制を受けないため、比較的自由な取引環境が提供されています。同一口座では両建てが許可されています。そして、ゼロカットシステムを採用している場合が多いため、相場急変時に口座残高がマイナスになるリスクが抑えられる点も特徴です。
海外FXはハイレバレッジが利用できる上、国内FXに比べてより大きく取引できます。そのため、両建てを活用して短期間で大きな利益を狙いたいというトレード戦略を立てることも可能です。ただし、レバレッジはリスクも伴うため、適切な資金管理が求められます。
海外FX業者の規約により、特定の両建て取引が禁止事項とされている場合があります。
上記の3つの方法は特に注意が必要です。
同じ海外FX業者において複数口座を開設し、それぞれの口座で反対ポジションを保有するのは、禁止の場合があります。例えば、一つの口座で買い注文を出し、別の口座で売り注文を出す手法は、業者によっては不正行為とみなされることがあります。
特に、ボーナスを活用して利益を得ようとする場合には厳しいペナルティが課されることがあります。多くの場合、ボーナスの悪用を防ぐために厳しく監視しており、発覚してしまうとボーナスの没収や口座凍結、出金拒否といった措置が取られる可能性があります。
また、同一名義での複数口座利用だけでなく、家族や知人の名義を使って両建てを行う行為も規約違反とされることが多いため注意です。業者はIPアドレスや取引履歴などをチェックし、不審な取引があれば即座に対応するため、意図的でなくともルール違反とみなされる可能性があるため、注意しておきましょう。
複数業者を介しての両建ては、規制の対象となることがあります。この方法では、例えばA社で買い注文を出し、B社で売り注文を出すといった手法です。
このような取引が発覚してしまうと、口座凍結、出金停止といった措置が取られる可能性があり、最悪の場合は永久的に取引ができなくなることもあります。よって、複数業者での両建ては避けるべきでしょう。
アービトラージを目的とした両建て取引が制限または禁止の場合があります。
アービトラージとは、市場の価格差を利用して利益を得る手法のことを指します。FXにおいても、価格のズレを利用した両建てができることがありますが、禁止の業者が多いです。
例として、複数の業者間でレートの違いが生じた際に、その差を利用して買いと売りで取引することで利益を狙う手法がありますが、厳しく制限されているのが現状です。
また、同じ業者内でも短時間で繰り返し取引を行い、スリッページや約定速度の違いを利用して利益を上げる方法もアービトラージの一種とみなされ、規約違反となることがあります。アービトラージ取引は、業者のシステムに不正な取引として検出され、口座凍結や取引の無効化といった措置が取られる可能性があります。
特に、ボーナスを活用したアービトラージを実施することはほぼ確実に禁止されており、ボーナスを悪用して利益を得ようとする行為は厳しく取り締まっているため、注意が必要です。仮に一時的に利益を得たとしても、出金が認められないケースがほとんどであるため、アービトラージを目的とする両建ては避けるべきでしょう。
海外FXで両建てをするメリットは、以下の通りです。
それぞれ見ていきましょう。
両建ては、リスク分散の効果があります。為替市場は常に変動しており、予測が難しいため、買いまたは売りのみの取引では想定外の動きによって大きな損失となることがあります。そのため、両建てによって、相場変動を抑えられ、リスク分散ができます。
例えば、米ドル/円の通貨ペアでロング(買い)保有の場合、相場が急落すると損失が発生します。しかし、同時にショート(売り)で保有することにより、相場が下落した際の損失を抑えられます。両建てによってリスク軽減ができ、相場の変動に対して柔軟な対応ができる手法の一つです。
また、特定の経済指標の発表時や予測が困難な相場環境においても、両建てによってリスクを最小限に抑えることができます。特にボラティリティが高い通貨ペアの場合、予想外の動きによる影響を軽減するために両建ては効果的です。
ただし、リスク分散の効果を最大限に活かすためには、適切なロット管理や資金管理が重要です。両建ての際には、どのタイミングでポジションを確定するのか、またどの程度の証拠金を用意するのかといった計画的な取引が求められます。
両建ては、相場が急変時に対応できます。為替市場は世界中の経済状況や政治的要因によって変動するため、突発的なニュースや指標発表により一気に価格が動くことがあります。そのような状況では、保有資金が大きな影響を受けることも少なくありません。
両建てを行っていると、片方が損失になった場合でも、片方は利益なので、合算して損益を安定させることができます。特に、短期間での相場の乱高下が激しい場合には、急激な損失を防ぐための有効な手段となります。
一方で、相場の急変時に両建てを適用する際には、スプレッドの拡大や流動性の低下に注意が必要です。市場が大きく動く瞬間では、取引コストが増えやすく、希望の価格で約定しない可能性もあるため、注意しながら取引を行いましょう。
海外FXで行うことにより、証拠金の負担を抑えることが可能です。通常、FXでは事前に証拠金を準備しなければいけませんが、両建てによって必要な証拠金が軽減されます。
ほとんどの場合、同一ペアで両建てを行った場合、必要証拠金を相殺する仕組みが採用されています。ロングとショートを同時に保持した場合、通常の証拠金計算とは異なり、証拠金を0円での取引が一般的です。これにより、証拠金維持率を保ちながら、資金効率を向上させることができます。
ただし、証拠金が抑えられるからといって、過度なレバレッジをかけることはあまりおすすめではありません。レバレッジをかけすぎると、急激な相場変動によってロスカットのリスクが高まるため、適切なリスク管理が必要となります。
両建ては、税金対策できる場合があります。特に、年間の利益額によって税金の負担が大きくなるトレーダーにとっては、課税される額を調整することができます。
例えば、年末に課税される額を超える利益がある場合、含み損のポジションを確定させると、その年の利益を減らせるので、節税につながります。
海外FXでは、以下の条件に当てはまる場合、税金が発生します。
・会社員:年間の利益が20万円を超える場合
・自営業・専業主婦など:年間の利益が20万円を超える場合
上記に当てはまる場合、期間中に確定申告が必要です。
上記に当てはまるのに確定申告をしなかった場合、追徴課税がかかることがあります。そのため、税金に関する情報や基本的な知識を必ず抑えておきましょう。
確定申告の方法については、国税庁の公式サイトを確認してみてください。
しかし、含み損ポジションを決済しても、課税となる条件(年間20万円を超える利益など)となった場合、確定申告が必要になる(※例外で住民税は申告が必要)ので、忘れずに期間中に行いましょう。また、FXでは基本的に、含み益を翌年に繰り越せるので、併せて活用すると節税効果が見込めます。なお、海外FX業者は、国内FX業者との損益通算が適用対象外となるため、注意が必要です。
損益通算:利益と損失を合算して計算し、その差額を税金の計算に反映させる仕組みのことを指します。
両建てをするデメリット・注意点は、以下の通りです。
両建てを検討している方は、上記3点に注意しておきましょう。
ロスカットのリスクがあります。ロスカットとは、投資家の証拠金維持率が一定の水準に達した際に、自動的にポジションを確定する仕組みです。ロスカットは口座の資金が不足した場合に自動決済されます。しかし、両建ては価格が大きく変動した際に、買い・売りポジションのどちらかがロスカットされる可能性があります。
例えば、ロングが含み益の場合でも、売りポジションが含み損の場合、損失が拡大するとロスカットが発動するリスクが高くなります。この状態で両建て取引を行っていると、価格の急変動した際にロスカットされ、資金が減少してしまうリスクが存在するのです。
両建てをする際には、ロスカットに注意し、しっかりと資金管理をする必要があります。
スプレッドが拡大しやすいです。
スプレッドとは、売買価格の差を指します。通常のFX取引においては、一方向のみのスプレッドがかかりますが、買い・売りのポジションを持つ両建てだと単純に通常取引より2倍のコストとなります。
特に、ボラティリティが高い市場や経済指標発表時など、マーケットが不安定な状況では、スプレッドが急激に拡大することがあります。つまり、両建てによってスプレッドだけでかなりの取引コストがかかります。
そのため、両建てを行う際には、取引コストを十分に考慮し、計画的に運用することが重要です。
両建て禁止の業者も存在します。両建てが不可な状態での取引は規約違反となります。最悪の場合、口座凍結や取引停止などの措置が取られる可能性があります。
両建て取引ができない業者では、取引の透明性と公正性を保つために両建てができない仕組みなので、両建ての前に海外FX業者の規約を十分に確認することが必須です。また、両建てが許可されている業者でも、過度に両建てを繰り返すことで、取引が監視され、場合によっては制限をかけられることがあります。
ここからは、両建てが可能な代表的な海外FX業者を厳選して紹介します。
どの業者がいいか検討してみてください。
AXIORYは、両建てが許可されています。スプレッドが狭く、高速注文が可能なのが特徴です。特に、AXIORYは透明性の高い取引環境を提供しており、トレーダーにとって安定した取引サポートが整っています。
また、AXIORYでは、同じ口座内以外にも以下の方法でも両建て可能です。
・複数口座での両建て
・複数業者での両建て
先ほど、海外FXで両建てが許可されているのは「同一口座で両建て」と説明いたしましたが、AXIORYは例外で、両建てに関する制限が緩く、両建てが問題ない場合もあります。
ただし、価格の急変動により片方ポジションが強制的にロスカットされるリスクはあります。両建てを行う際には慎重に相場の動きを予測し、適切なリスク管理を行いましょう。
なお、AXIORYはトップクラスのスワップポイントを誇るので、スワップ取引に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
MIDORI FXは、約定率の高さに人気のある海外FX業者であり、両建てに対応。MIDORI FXは、低スプレッドなので、両建ての際に取引コストを極力抑えられます。
しかし、MIDORI FXの両建て取引においても、過度なレバレッジをかけず、資金管理をすることが重要です。特に、相場の急激な変動時に両建て取引を行う際には、ロスカットされる可能性が高まるので注意しておきましょう。
また、日本語サポートも対応しているため、トラブルの際にも安心して問い合わせもできます。
Tradeviewは、非常に安定した取引環境を提供しており、両建てができます。Tradeviewは、業界最安水準のスプレッドの狭さを誇っており、取引手数料が低いため、コストを抑えられます。
さらに、Tradeviewでは、最大500倍のレバレッジをかけられるため、少ない資金でも両建てで、利益を得やすい特徴があります。
一方、レバレッジが高いほどロスカットのリスクが高まるので、十分に注意しておきましょう。
TitanFXは、業界トップクラスの約定力を誇り、両建て取引にも対応しています。TitanFXは、低スプレッドで高速注文が可能なので、非常に便利です。特に、FX初心者にとっても使いやすいインターフェースが提供されています。
また、両建て取引において低コストで取引が可能です。ボーナス制度やキャンペーンも充実しており、トレーダーにとって非常に魅力的な取引環境が提供されています。なお、「複数口座での両建て」や「複数の業者を利用した両建て」の際にはゼロカットは対象外となるので、注意です。
両建てをする際には、ルールに従って行うようにしましょう。
また、TitanFXでは、MT4に対応しています。
FBSは、両建て取引に対応しています。FBSは、2009年に設立され、アジアやヨーロッパなどを中心に、世界各国で利用されています。
FBSの特徴は、最大レバレッジが3,000倍なところです。通常の場合、海外FXの最大レバレッジは500倍あるいは1,000倍が一般的ですが、FBSでは最大3,000倍のレバレッジをかけられるため、少ない資金で利益を上げやすいです。
ただし、レバレッジが高いほど含み損の際に強制的にロスカットされる可能性が高まるので、注意です。
また、サポート体制も整っており、日本語サポートに対応しているため、日本のトレーダーも安心して利用できます。
最後に、海外FXの両建てに関するよくある質問について回答していきます。
気になる項目があれば、ぜひ参考にしてみてください。
多くの場合、両建てが全面的に禁止されているわけではありません。しかし、取引に関しては注意が必要で、例えば「複数口座での両建て」や「複数業者での両建て」と各業者が定めるルールを破ると、規約違反となる場合もあります。
他には、ボーナスを使用した両建て取引が規制に抵触する業者が多いので、事前に利用規約をよく確認することが重要です。
多くの場合、複数口座の場合、両建ては問題ありません。中には、業者によって、複数の口座にわたる両建てを禁止する規約がある場合があるため、事前に利用規約等の確認が必要です。
「複数の口座を介しての両建て」以外にも、再三ですが「複数業者での両建て」も禁止している業者もあるので、注意しておきましょう。
多くの海外FX業者が提供するボーナスを利用した両建ては、一部の業者では制限や禁止されています。ボーナスに関しても、制限がある場合があります。ボーナスは、特定の取引条件を満たした後に利益を引き出せるように設定されているため、リスクなく利益を得る手法は禁止されています。
業者によっては、ボーナスの使用を制限しているところもあります。「ボーナスを使った両建てを行うと、ボーナスが無効になる」といった規約を設けている業者もあります。そのため、ボーナスを使って両建てを行いたいと考えている場合は、事前に業者の規約を確認し、どのような場合にボーナスが適用されるかをしっかり理解することが重要です。
両建てを許可している海外FX業者を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。まず、両建てに対する規約を明確に示している業者を選ぶことが重要です。両建てに対応しているかどうかを利用規約に記載していますが、その内容に関して不明点がある場合は、「利用をやめる」か「サポートに問い合わせる」ことをおすすめします。
また、両建て取引ができる海外FX業者を利用する際には、取引手数料やスプレッドも確認すべきです。両建てを行う場合、スプレッドや手数料が高いと、取引コストが余分にかかるため、低コストで取引ができる業者を選ぶことが大切です。
両建ての辞め時に正解はありませんが、主に以下のような時に辞めるタイミングとなるでしょう。
両建てを行っている場合、相場が明らかな上昇あるいは下落トレンドになった場合、その方向にポジションを絞ることが重要です。例えば、長期間上昇トレンドが続いている場合、売りは早めに決済し、買いを残すようにして、両建てをやめるようにしましょう。
損益がある程度積み重なった場合、両建てを辞めるタイミングとしても良いでしょう。両建てによって、自分で設定した利確・損切りラインに到達したらポジションを決済するのも一つの手です。利確・損切りラインの目安に個人差がありますが、損益が±20%前後の際に決済することが一般的です。
両建て取引を続けることで、ポジションの管理が難しくなることがあります。特に、相場の急変動で、両ポジションの損益をリアルタイムで管理・調整する時間がない時は早めにポジションを確定するようにしましょう。
上記はあくまで目安なので、自分で設定したタイミングで両建てを辞める決断をしましょう。
今回は、海外FXで両建てできるのかについて解説してきました。
再度、おさらいしてみましょう。
一般的に、海外FX業者では両建てができますが、一部両建てを禁止している業者もあります。
両建てを禁止している業者で両建てが発覚すると、口座凍結や出金停止の措置が取られる場合があります。
また、両建てが可能な業者でも手法によっては禁止されていることがあるので、以下の3つの手法を確認しておきましょう。
・同一口座間の両建て
・複数口座間の両建て
・複数の海外FX業者間の両建て
これらを踏まえて、両建てが可能な代表的な海外FX業者は以下の通りです。
それぞれの業者では、取引手数料やスプレッド、最大レバレッジなどが複数のので、比較した上で利用する海外FX業者を選びましょう。
また、海外FXにおける両建て取引は、リスク分散や相場の急変時に対応できるなどメリットがありますが、取引手数料やスプレッドなどのコストも確認すべきです。
そして、利益が発生すると税金がかかるので、両建てをして含み損ポジションを決済し、節税するようにしましょう。
最後に、再三にはなりますが、両建て取引を禁止している業者もあるため、事前の調査は必要です。
これらの点を理解した上で、両建て取引を検討し、安全に取引を行うようにしましょう。
本記事が参考になれば幸いです。