まずは、チャートとは?ローソク足、トレンドライン、テクニカル分析とファンダメンタル分析の違いについて詳しく解説していきます。
チャートは、過去の相場の動きや時間軸に基づいて、現在と未来の価格動向を予測するためのツールです。FX取引においては、価格がどのように変動してきたかを判断する際に、時間軸と価格軸が描かれたグラフを使用します。価格の動きがグラフ上でどのように形成されているかを観察することで、市場の動向を把握できます。
通常、FXのチャートは「ローソク足」で表示されることが多いです。これは、一定期間(例えば、1分、5分、1時間、日単位等)の始値、終値、高値、安値を表示したもので、市場の価格の変動を簡単に理解できます。
チャートで分析し、適切なタイミングでエントリーやエグジットを行うためには、チャートの基本的な理解が欠かせません。次に、チャートの基本的な構成要素の一つであるローソク足について解説します。
ローソク足は、FXにおける最も一般的なチャートの形式であり、取引の中で最も重要な情報です。
ローソク足は、実体と呼ばれる太い部分と、ヒゲと呼ばれる細い部分から構成されています。実体部分は、一定期間内の始値と終値であり、ヒゲ部分は、一定期間内の高値と安値です。実体部分が上昇の場合、終値が始値よりも高いことを意味し、逆に実体が下向きでは、終値が始値よりも低かったことを示します。この実体の色(通常は白または緑が上昇、黒または赤が下降)で相場の動向を判断します。
また、連続して同じ方向に向かって長い実体を持つローソク足が現れると、上昇トレンドを示すことがあります。
また、ローソク足には様々なパターンが存在するので、それぞれの特徴を覚えないといけません。次に、ローソク足とよく使われる「トレンドライン」について説明します。
トレンドラインはチャート上で相場の動きを視覚的に把握するための線であり、トレンドを確認するために使用されます。上昇トレンドや下降トレンドを判断する際に、価格の高値や安値を結んで引かれます。これによって、市場が現在どの方向に向かっているのかを視覚的に理解できるようになります。
上昇トレンドの場合、ラインは安値を結んで引かれます。逆に下降トレンドでは、高値を結んで引かれたラインが下降しており、価格がこのラインを越えられずに下落すると判断できます。
トレンドラインは、価格の動きに対して柔軟に対応できるため、初心者でも比較的簡単に利用できるテクニカル分析のツールです。
FXのチャート分析には、「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」という2つの方法があります。これらの分析方法は、どちらも市場の動向を予測するために用いられますが、それぞれ異なる視点から市場の動きを分析するため、初心者の方はまずその違いを理解することが大切です。
テクニカル分析は、過去のデータや取引量、チャートパターン等を基に、将来の価格推移を予測する方法です。市場の動きはすべて過去の価格に反映されており、過去の相場を分析することで、未来の価格動向を予測できます。そのため、「ローソク足」や「ラインチャート」等の図形は、テクニカル分析で重要な指標となります。
テクニカル分析を行う際には、過去の価格や出来高のデータをもとに、今後の市場の動向を予測します。よく使われる指標には、移動平均線、RSI(相対力指数)、MACD(移動平均収束拡散法)等があります。これらの指標については、後ほど解説いたします。
一方、ファンダメンタル分析は、経済的な要因に基づいて、価格変動を予測する方法です。ファンダメンタル分析では、経済指標やニュース、政治的なイベント等、国の経済状況や市場環境を分析します。GDP(国内総生産)や失業率、金利の動向、通貨の価値を元に、今後のチャートの動向を分析します。
ファンダメンタル分析では、各国の経済指標や中央銀行の政策、さらには地政学的なリスクまで幅広い情報を取り入れます。例えば、米国の経済成長が順調であれば、米ドルが強くなる傾向があり、逆に景気が悪化すれば、米ドルが弱くなる可能性があります。このように、ファンダメンタル分析は、長期的なトレンドを予測するために適しており、中長期的な投資に向いています。
ファンダメンタル分析は、経済全体の動向を把握すると、長期的な投資判断を行いやすいです。しかし、ニュースや経済指標等の情報を迅速に把握する必要があるため、高い情報収集能力と判断力が求められます。
ここでは、FXチャートの基本的な見方と、チャートの種類を初心者にもわかりやすく解説します。
FXのチャートでは、様々な時間軸で相場の変動を確認することができます。時間軸の違いによって、チャートの見え方や分析の方法が変わるため、どの時間軸を使うかは非常に重要です。
「分足」とは、時間単位が1分や5分、15分等の短い時間間隔のチャートを指します。短期的なトレンドを確認したり、迅速な取引を行う際に用いられます。例えば、1分足であれば、1分ごとにレートがどのように動いたかを確認することができます。短期間での価格変動を把握することができるため、短期売買を行うデイトレードやスキャルピングの際に便利です。
「日足」は、1日ごとの変動を示すチャートです。分速よりも長期的に相場を把握するために使用されます。1日の価格動向が一目でわかるため、1日を通してどの方向に相場が動いているのかを確認するのに役立ちます。日足は、デイトレードよりも少し長めの取引を行うことが多いです。
「週足」と「月足」はさらに長期的な時間軸です。週足は1週間ごとの変動を示し、月足は1ヶ月ごとの変動を表しています。これらは、長期的な市場動向を把握するために使用され、スイングトレードや長期投資を行うトレーダーに向いています。長期的なトレンドを見るためには、週足や月足での分析が有効です。
それぞれの時間軸でチャートを分析してみましょう。
FXチャートを理解するためには、始値・高値・安値・終値という基本的な用語を押さえておく必要があります。
「始値」は、ある期間(分足、日足、週足、月足等)の最初の取引価格です。日足チャートでは、その日の最初に成立した取引の価格が始値になります。始値を知ると、その日の市場がどの価格帯からスタートしたのかを理解することができます。
「高値」は、一定の時間内で最も高く取引された価格です。高値を確認することで、相場がどこまで上昇したかを知ることができます。
「安値」は、高値と逆で、一定の時間内で最も低く取引された価格です。安値を知ると、相場がどこまで下落したのかを知ることができます。
「終値」は、ある期間が終了した時点の価格です。日足チャートでは、その日の最後に成立した取引の価格が終値になります。特に、終値が前日よりも高い時は、上昇トレンドが継続していると判断されることが多いです。
チャートを分析する際は、これらを組み合わせて、相場の流れを読み解くことが求められます。
FX取引において、相場は主に3つの状態「上昇トレンド」、「下降トレンド」、「レンジ相場」に分類されます。
上昇トレンドは、価格が継続的に上昇している状態です。高値と安値が次第に高くなり、チャート上で右肩上がりのラインを描くことが特徴です。上昇トレンドが発生しているときは、順張りで買い取引をすることが多いです。
一方、下降トレンドは、価格が継続的に下落している状態です。高値と安値が次第に低くなり、チャート上で右肩下がりのラインを描くことが特徴です。下降トレンドが発生しているときは、売りが優勢となるため、相場が下落する場合が多いです。
レンジ相場は、相場が一定の価格帯で上下する状態を指します。この状態では、価格が一定の範囲内で動き、上昇トレンドや下降トレンドと判断できないことが多いです。
これら3つの相場状態を駆使し、適切なタイミングで取引を行うことで安定して利益を上げやすくなります。
FX初心者におすすめのテクニカル分析について紹介いたします。
移動平均線は、ある期間の価格の平均値をつなげてグラフに表示したもので、トレンドの方向や強さを把握するのに非常に役立つ指標です。特に、価格の動きがある方向に継続しているか、反転しているかを確認するために使います。
移動平均線には「単純移動平均線(SMA)」と「指数移動平均線(EMA)」の2種類があります。SMAは、指定された期間の終値の平均を算出するシンプルな方法です。たとえば、5日間の単純移動平均線は、過去5日間の終値を合計して5で割った値を求めます。一方、EMAは短期間での価格変動に適しています。
移動平均線は、短期の移動平均線(例えば5日)と長期の移動平均線(例えば50日)を比較することが一般的です。短期線が長期線を上回ると「ゴールデンクロス」と呼ばれ、上昇トレンドとして判断されます。逆に、短期線が長期線を下回ると「デッドクロス」と呼ばれ、下降トレンドとして判断できます。
移動平均線は非常にシンプルであるため、初心者にも理解しやすく、どのトレンド方向に進んでいるかを判断するための強力なツールです。しかし、移動平均線は遅行指標なので、トレンドが発生した後に反応するという点には注意が必要です。
ボリンジャーバンドは、移動平均線に標準偏差を加えた指標です。ボリンジャーバンドは、価格の変動性を示すため、価格がどれだけボラティリティが高いかを判断する際に役立ちます。ボリンジャーバンドは、中心に移動平均線、上下にバンド(帯)があります。このバンドは、価格の変動に応じて広がったり狭まったりします。
ボリンジャーバンドの上限を超えた場合、買われすぎのサインであり、下限を超えた場合、過剰に売られていると判断されます。
なお、ボリンジャーバンド単体で今後の相場の動向を判断することは難しく、他の指標と併用することでより相場の動向を分析できやすくなります。
RSIは、相対力指数とも呼ばれ、一定期間における価格の上昇幅と下落幅を比較して、その時点の価格が「買われすぎ」「売られすぎ」の状態にあるかを示す指標です。RSIの値は0から100の範囲で表示され、一般的に70以上が買われすぎ、30以下が売られすぎとされます。
RSI単独でも相場の動向を判断できますが、他の指標と組み合わせて使用することで、より精度の高い分析が可能になります。
MACDは、移動平均線を利用した指標で、相場のトレンドの強さや方向、転換点を探るために使用されます。MACDは、2本の移動平均線(通常、12日と26日の指数移動平均線)を用いて、短期の価格動向と長期の価格動向を比較しています。
MACDの基本的な使い方は、MACDライン(短期移動平均と長期移動平均の差)とシグナルライン(MACDラインの9日間の移動平均)のクロスを確認することです。MACDラインがシグナルラインを上抜けると、「ゴールデンクロス」の判断ができます。一方、MACDラインがシグナルラインを下抜けると、「デッドクロス」の判断ができます。
なお、FXは必ずしもチャートの分析通りになるわけではないので、あくまでもチャートだけを頼りにしないように注意しましょう。
ここからは、FX初心者でもチャートツールが使いやすいFX会社を5つ紹介いたします。
外為どっとコムは、日本のFX業者で、FX初心者向けに非常に使いやすいチャートツールを提供しています。特に、シンプルで直感的な操作性が魅力的で、初めてFXを取引する方でもスムーズにチャートを活用できるようになっています。外為どっとコムでは、取引画面におけるチャートのカスタマイズが自由自在で、初心者でも見やすく設定できます。
さらに、チャートにリアルタイムで変動するレートが反映されるため、トレンドをつかむのに非常に役立ちます。特にアプリ版も利用できるので、移動中でも手軽にチャート分析や注文が可能です。
GMOクリック証券は、「プラチナチャート」と呼ばれる独自のチャートツールが特徴です。
プラチナチャートは、FXとCFDのチャートを並べて表示されており、視覚的にわかりやすく、初心者でもすぐに使いこなすことができます。
また、プラチナチャートは、口座を持っている方は無料で利用できます。
みんなのFXは、過去のデータを基にした分析が可能で、ローソク足やラインチャートを使って、為替の動きを直感的に把握できます。スマートフォン向けアプリも非常に使いやすく、外出中でもチャートを確認しながら取引を行うことができます。
また、みんなのFXでは、デモトレードを行うことができるため、実際のお金を使わずに取引を練習できるのが魅力です。
実際に取引するのに抵抗がある方は、ぜひデモトレードでFXを体験してみてください。
MIDORI FXは、シンプルで視覚的にわかりやすいチャートツールが特徴です。チャートに表示される情報も非常に見やすく、初心者でも簡単に使えます。
複数の時間足や分析ツールを駆使しながら、リアルタイムで市場の動向をチェックすることができます。また、スマートフォン向けのアプリも提供しており、どこでもチャートを確認し、必要なタイミングで取引を行えるため、利便性が高いです。
上記の中から、気になる業者があれば、ぜひ口座開設してみてください。
ここでは、初心者が陥りがちなチャートの見方の間違いと注意点について解説していきます。
FXは、必ずしもチャートの動きが予測通りになるわけではありません。特に初心者の方は、過去のチャートを見て「こうなるだろう」と予測してしまいがちですが、予測と違う相場になることは多々あります。
そのため、FX取引する際には十分な資金管理とリスクヘッジを行うことを心掛けましょう。
SNSや著名人の意見を参考にする方も多いですが、完全に鵜呑みにしすぎるのは避けるべきです。SNS上の情報や、著名人の意見が必ずしも正しいとは限りません。
重要なのは、自分自身で情報を収集し、チャート分析を行い、取引戦略を立てることです。もちろん、他人の意見を参考にするのも大切ですが、自分の判断と駆使するようにしましょう。また、自分に合ったトレードスタイルを見つけることも大切です。
FX取引を行う際に絶対にしてはいけないことは、余剰資金以外を使って取引を行うことです。FXはリスクの高い投資なので、元本割れや損失が発生するリスクがあります。そのため、FXの取引はあくまでも「余剰資金」で行い、資金管理を徹底しましょう。
また、初心者が取引を始める際には、レバレッジの使い方にも注意が必要です。レバレッジをかけることで、少ない元手で大きな取引ができますが、レバレッジを過剰に上げすぎると、資産を一気に失う可能性があるため、最初は低いレバレッジで取引しましょう。
FXのチャートを見て「なんとなく上がりそうだから買おう」「なんとなく下がりそうだから売ろう」といった感覚的な判断も要注意です。感覚的な取引で利益が増えた場合でも、単なる運がよかったという可能性も高いので、安定して利益を上げることは難しくなります。
FX取引では、チャートパターンやテクニカル指標、経済指標等を駆使して、判断することが重要です。
また、損失の拡大を避けるためにも損切りのラインを決めておく、利確ラインを設定する等、事前にルールを決めておきましょう。
最後に、FX初心者のチャートの見方についてよくある質問について回答していきます。
短期的なトレードをする場合は、1分足や5分足、15分足等の短い時間足を使うことが多いです。特に、デイトレードやスキャルピングをする方に向いています。ただし、短期足のチャートは急な価格の変動が発生することもあるため、注意が必要です。
少し長めの時間軸で取引する場合は、1時間足や4時間足、日足を使うことが多いです。特に、スイングトレードやポジショントレードをする方に向いています。
なお、上記はあくまでも参考程度にしておき、自分の取引スタイルに合った時間足で取引することが大切です。
移動平均線は、FX初心者でも簡単にチャートの分析ができるため、多くのトレーダーで使われやすい指標です。
初心者が移動平均線を使う際には、まずは1本または2本の移動平均線をチャートに表示し、その傾向を見てから始めるとよいでしょう。
なお、移動平均線単独で使うだけでなく、他のテクニカル指標と組み合わせて使う方がより相場を予測しやすくなります。
FX初心者におすすめの通貨ペアは、流動性が高く、安定的な主要通貨ペアです。代表的なものは、USD/JPY(米ドル/日本円)やEUR/USD(ユーロ/米ドル)などがあります。これらの通貨ペアは、世界で最も取引量が多く、相場の動きも比較的予測しやすいため、初心者にも適しています。
また、スプレッド(売買価格の差)が狭く、取引手数料が低い通貨ペアを選ぶことも重要です。EUR/USDやUSD/JPYは、スプレッドが狭いため、取引コストが抑えられるというメリットがあります。特に、少ない額で取引を始めたい初心者にとっては、コストが低い通貨ペアを選ぶことが資産管理において重要です。
一方で、初心者があまり手を出さない方がよい通貨ペアは、ボラティリティが高く、予測が難しい新興国通貨(例:TRY/JPY、BRL/USD等)があります。これらの通貨ペアは、短期間で値動き大きくなる反面、リスクが非常に高く、初心者が取引するには不安定な要素が多いため、避けるべきです。
FX初心者がまず選ぶべき通貨ペアは、流動性が高く、取引コストが低い、例えばEUR/USDやUSD/JPYのような主要通貨ペアを中心に取引を始めるとよいでしょう。さらに、慣れてきたら他の通貨ペアで取引してみてもよいです。
本記事のまとめです。
FX初心者の方は、まずチャートの基本用語(ローソク足やトレンドライン)を理解する必要があります。
FXの基本用語の理解と並行して、各FX会社のデモトレードでFXを体験し、自分に合ったトレンドスタイルを見つけましょう。